平成29年度 税制改正のポイント
デロイト トーマツ税理士法人
藤澤 文太 / 間中 春樹
(6) 国際課税関係の改正
国際課税については、日本企業の健全な海外展開を支え、その果実の国内経済への還流を促し、これまで以上に租税回避に効果的に対応するための改正となりました。
個別の制度改正に当たっては、
- i 「BEPSプロジェクト」の合意事項の着実な実施を通じた国際協調の推進、
- ii「経済活動や価値創造の場と税が支払われるべき場所を一致させる」との「BEPSプロジェクト」の基本的考え方を踏まえた、健全な海外展開を歪める誘引の除去、
- iii 税に関する透明性の向上に向けた国際的な協調、
という3つの基本方針の下、平成29年度税制改正においては、外国子会社を通じた租税回避を抑制することを目的とする「外国子会社合算税制」が総合的に見直されましたので、その概要を説明します。
① 外国子会社合算税制の改正
改正前は、外国子会社の税負担水準が20%以上であれば経済実体を伴わない所得であっても合算されない一方、実体ある事業から得た所得であっても合算されてしまう場合があるとの問題が指摘されていました。
これらに対応するため、外国子会社の経済実体に即して課税すべきとの「BEPSプロジェクト」の基本的考え方を踏まえ、経済実体がない、いわゆる受動的所得は合算対象とする一方で、実体のある事業からの能動的所得であれば、子会社の税負担率にかかわらず合算対象外とすることとされました。
改正の背景
改正後の制度概要
- 適用時期
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外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。