平成29年度 税制改正のポイント
デロイト トーマツ税理士法人
藤澤 文太 / 間中 春樹
- <目次>
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- (1) 所得拡大促進税制の見直し
- (2) 確定申告書の提出期限の延長の特例の見直し
- (3) 中小企業向けの各租税特別措置の適用対象の限定
- (4) 組織再編税制関係の改正
- (5) 役員給与等の見直し
- (6) 国際課税関係の改正
- (7) 消費税増税時期の延長
(1) 所得拡大促進税制の見直し
企業収益の拡大が雇用の増加や賃金上昇につながって、それが消費や投資の増加に結び付くという経済の好循環を強化する目的から、高い賃上げを行う企業への支援を強化する改正が行われました。
改正のイメージ
① 中小企業者等以外の大企業(資本金1億円超など一定の要件を満たす法人)
中小企業者等以外の大企業については、上記図の適用要件③「平均給与等支給額」が前年度(平均給与等支給額)よりも2%以上増加した場合には、前年度からの増加額について税額控除を2%上乗せされることとなりました。一方で、前年度からの賃上げ率が2%未満の場合には、要件を満たさず所得拡大促進税制自体の適用がないこととなりました。
② 中小企業者等(資本金1億円以上で一定の要件を満たす法人)
中小企業者等については、適用要件の見直し自体はなく、税額控除限度額の拡大が行われています。
従来の給与等支給額の増加額×10%の税額控除に加え、平均給与等支給額が前年度(比較平均給与等支給額)から2%以上増加した場合には、その前年度からの増加額の12%の税額控除が上乗せされることとなりました。
改正による税額控除額のイメージ図
- 適用時期
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平成29年4月1日以後に開始する事業年度より適用されます。