税理士法人トーマツが送る
平成27年度 税制改正のポイント
※2015年10月1日より「デロイト トーマツ税理士法人」へ社名変更
後編 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直しのポイント
税理士法人トーマツ
税理士 間中 春樹
5. 国外事業者から電気通信利用役務の提供を受けた場合の課税関係の
まとめと留意点
(1) 国外事業者から電気通信利用役務の提供を受けた場合
国内事業者が国外事業者から電気通信利用役務の提供を受けた場合の課税関係を図示すると以下のようになります。
(2) 課税売上割合の低い国内事業者の留意点
リバースチャージ方式の導入により、課税売上割合が95%未満の事業者は、事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、当該取引に係る仮受消費税と仮払消費税の両方を認識しなければなりません。また、当該仮払消費税のうち、課税売上割合により仕入税額控除できなかったものについては控除対象外消費税として費用が増加し、損益に影響が出てきます。
(3) 非居住者に対しアプリ等を販売する国内事業者の留意点
国内事業者が非居住者に対してアプリの販売等を行った場合、従来は所定の書類の保存等の要件を満たせば輸出免税取引に該当しましたが、当該取引は電気通信役務の提供に該当するため平成27年10月1日以後は国外取引となります。
その結果、課税売上割合計算上、分母・分子に算入できなくなるため課税売上割合が減少し、控除対象外消費税が増加することになり損益に影響が出る可能性があります。
6. おわりに
今回のコラムはいかがでしたか。 平成27年度税制改正による国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直しについて解説しましたが、この改正は平成27年10月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供から適用されます。
しかし、すべての国内事業者に影響を与えるものではなく、国外事業者からの電気通信役務の提供をどれくらい受けているか、自社の課税売上割合はどれくらいか、原則課税か簡易課税か、により自社への影響度は異なりますので、自社にどのような影響があるか、事前に把握しておくことが必要となります。
本記事の内容は、現時点の情報に基づく一般的な事項の記載にとどまります。したがって、本記事で説明した税制等の適用を前提とした取引等を実施される場合は、個別の事実関係を踏まえて、専門家の助言を得る事が必要です。なお、会員又は本記事を入手された方が、本記事の内容に依拠した事によって生じた損害等については執筆者・所属法人は一切の責任を負いません。