- 2018. 08. 09
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- 税制改正
平成30年度 税制改正のポイント
デロイト トーマツ税理士法人
藤澤 文太 / 秋篠 秀弥 / 石川 開晟
1. はじめに
皆さん、こんにちは。デロイト トーマツ税理士法人です。今回は平成30年度税制改正について解説させていただきます。改正内容は広範囲の分野にわたり多くの納税者に関係のある内容となっていますが、このコラムでは改正内容のうち特に読者の皆様に関心の高い内容と思われる法人に関係の深い内容をピックアップして解説します。
読者の皆様の理解がより深まるように図や表を使って分かりやすく解説することを心掛けました。毎年複雑化する税制のキャッチアップに役立てていただければ幸いです。
2. 平成30年度 税制改正のポイント
今年の法人関連の税制改正は「生産性向上」「賃上げ」「投資促進」が大きなテーマとなっています。また、これらに加えて会計基準の見直しやビジネスのグローバル化への対応も行われています。
まず、賃上げ・生産性向上を通じた「生産性革命」の実現に向けた税制措置として、人材投資や設備投資に積極的な法人について税額控除等が拡充されました。一方、賃上げや設備投資に積極的でない大企業については、研究開発税制等の租税特別措置が停止する措置がとられています。
また、大企業では、収益認識基準の税務上の取扱いや、電子申告についても改正が行われることとなりました。
グローバル化したビジネスへの対応としては、平成29年度税制改正で大幅に見直された外国子会社合算税制について追加的な改正が行われています。
平成30年税制改正内容の全体像
少子高齢化の克服に向けた「生産性革命」と「人づくり革命」の断行
働き方改革、デフレ脱却と経済再生 |
多様な働き方の後押し |
- 給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し(個人所得税)
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「生産性革命」の実現に向けた税制措置 |
- 所得拡大促進税制の改組
- 情報連携投資等の促進に係る税制の創設
- 租税特別措置の適用要件の見直し
- 中小企業の固定資産税の減免
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中小企業の円滑な世代交代の促進 |
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事業再編の環境整備 |
- 特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例の創設
- 組織再編税制の適格要件の一部見直し
- 無対価組織再編成の処理の明確化
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国際課税 |
国際的な租税回避への対応 |
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健全な海外展開促進 |
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その他 |
- 収益認識会計基準への対応
- 税務手続の電子化等の推進
- 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
- 外国人の出国後の相続税等の納税義務の見直し
- 国際観光旅客税(仮称)の創設
- その他の租税特別措置
等
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- <目次>
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- (1) 所得拡大促進税制の改組
- (2) 情報連携投資等の促進に係る税制の創設
- (3) 租税特別措置法の適用要件の見直し
- (4) 中小企業等の機械等の固定資産税の特例措置
- (5) 収益認識会計基準への対応
- (6) 申告手続の電子化促進のための環境整備