令和5年度 税制改正のポイント
デロイト トーマツ税理士法人
幅 建介 / 味岡 貴英 / 石田 貴也
(9) (番外編)完全子法人株式等に係る配当等についての
源泉所得税の徴収廃止(令和4年度税制改正)
こちらは令和4年度税制改正の内容とはなりますが、納税者・税務署の事務負担軽減の観点より、
100%の株式等を直接保有している親会社、又は1/3超の株式等を直接保有している法人に対し、令和5年10月1日以後に配当等を支払う場合には源泉徴収が不要となりますので、
グループ内で配当を行う会社様はご留意ください。
内国法人(*1)が支払を受ける配当等で次に掲げるものについて所得税が課されないこととされる
また、その配当等に係る所得税の源泉徴収も不要とされる
- 完全子法人株式等に係る配当等
- 株式等保有割合100%(直接保有のみ)
- 配当等計算期間にわたる継続保有要件あり
-
配当等の支払に係る基準日において、内国法人が直接保有する他の内国法人(*1)の株式等(*2)の保有割合が1/3超である株式等に係る配当等で一定のもの
右記②の範囲との違いに注意
令和5年10月1日以後に支払を受けるべき
配当等について適用
【受取配当等の益金不算入制度】
配当等の区分 |
益金不算入額 |
- ① 完全子法人等株式等に係る配当等
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- 株式等保有割合100%(間接保有含む)
- 配当等計算期間にわたる継続保有要件あり
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配当等の額 x 100%
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- ② 関連法人株式等に係る配当等
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- 株式等保有割合 1/3超(*3)かつ100%未満
- 配当等計算期間にわたる継続保有要件あり
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(配当等の額 - 控除負債利子)x 100%
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①、②、③のいずれにも該当しない株式等に係る配当等
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配当等の額 x 50%
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- ③ 非支配目的株式等に係る配当等
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配当等の額 x 20%
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- 適用時期
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令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。
3. おわりに
今回の税制改正につきましては、法人税関連では研究開発税制、オープンイノベーション税制の見直しを中心に、基本的には既存措置の延長・見直しが多い内容となっています。
また、消費税関連では、令和5年10月から導入されるインボイス制度に関する改正が中心となっていますが、
制度開始に向け、国税庁から令和5年4月14日に改訂後のQ&A及び令和5年8月10日に改正後の通達が公表されるなど、情報が順次アップデートされていますので、適宜キャッチアップいただき万全な体制で制度開始をお迎えください。
本コラムをご一読いただくことで、皆様の令和5年度税制改正に関する理解の一助になりましたら幸いでございます。
本記事の内容は、現時点の情報に基づく一般的な事項の記載にとどまります。
したがって、本記事で説明した税制等の適用を前提とした取引等を実施される場合は、個別の事実関係を踏まえて、専門家の助言を得る事が必要です。
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