• 2020. 01. 20
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RPAで経理・会計業務の効率化を!
導入メリットや活用のポイントを紹介

経理・会計業務の効率化を目的とした「RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)」の導入が広がっています。

RPAを導入することで、ソフトウェア型のロボットにより、経理・会計業務などにおける定型作業を自動化できるため、生産性の向上に貢献します。しかし、RPAについての知識が漠然としていて、実際に導入するのは難しそうというイメージを持っている方も少なくないでしょう。

そこで本コラムでは、RPAをスムーズに導入するためのポイントや、RPAと相性の良い経理・会計業務について解説するとともに、経理・会計業務に特化したRPAをご紹介します。

目次

RPAとは

RPAは、組織内で繰り返される定型業務やタスクをソフトウェアロボットによって自動化する技術です。ソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化は、ヒューマンエラーやタスクの遅延を減らし、生産性を向上させます。また、RPAは既存のシステムとの連携が容易であり、既存のITインフラに依存するため、短期間で導入できる利点も着目すべきでしょう。

企業では、経理業務や人事業務、顧客サービス、在庫管理など、さまざまな業務領域で利用されています。経理業務では、仕訳の作成や請求書の処理、データが一致しているかの確認などに活用可能です。

RPAは特定のルールに基づいて作業を自動化し、複数のシステムやアプリケーションとの連携を容易にします。柔軟性と拡張性を備え、手順が決まっている多数の業務に対応可能です。RPAの導入によって従業員は、戦略的な業務に注力できるでしょう。

RPAの導入には、業務プロセスの分析と設計、ソフトウェアロボットの開発と設定、セキュリティの考慮、監視と管理などの要素が含まれますので、場合によっては難易度が上がることもあるでしょう。しかし、RPAを使いこなせれば、効率性と生産性の向上を実現できる可能性が高まります。従業員の負荷を軽減し、戦略的な業務に集中できるようになることが期待できるのです。

RPAの導入で効果が出やすいのは経理・会計業務

RPAは定型業務やタスクを自動化しますが、「自動化できる業務」とは、どのようなものなのでしょうか?

それは、「決められた手順」があり、イレギュラーが少なく、人の判断を必要としない定型業務です。経理・会計業務には、このような定型業務が多く、「毎月○日になったらデータのインポート処理をする」「Aの処理が終わったら、Bの帳表を出力する」といった手順が定まっているため、RPAが力を発揮しやすいのです。

また、こうした定型業務は、決算書など、社内外のステークホルダーへの報告内容に直結することが多く、100%の正確性が求められる特徴があります。そのため、定型業務をRPAで自動化する際には、ロボットが止まったり、間違った処理をしたりといったリスクに備えることも大切です。そうしたリスクを削減するには、数あるRPAのなかでも、「会計に特化したRPA」を選ぶと良いでしょう。

逆に、人の判断が必要な非定型業務については、RPAを導入しても自動化することはできません。例えば、経営戦略を立てる場面や取引先との交渉が必要な業務はもちろん、経理・会計業務においてもイレギュラーな処理が頻発する業務などについては、定型業務を自動化して削減できた時間を使って、人間が判断し処理をするのが合理的です。

RPAによって経理担当者の作業負荷を削減できれば、働き方改革につながり、社員は人にしかできない創造性が求められる非定型業務に時間や能力を最大限投じることができます。

RPAで自動化が期待できる経理業務

経理業務においてRPAの適用が可能な作業は以下のとおりです。

仕訳の作成と転記

RPAは、日々の取引データから必要な仕訳を自動的に作成し、会計システムに転記します。取引データの抽出、整形、および正確な仕訳の作成を自動化することで、エラーを減らし、作業の効率性を向上させます。

出入金管理

取引銀行のサイトへアクセスし、口座の出入金データを自動でダウンロード。もしくは、出入金データと帳簿を突き合わせて「支払」「請求」などの消込を行うことで、出入金の漏れを防止します。

勘定科目の調整

月次や四半期の締め処理時には、仮払金や仮受金などの整理や、減価償却費の計上など、勘定科目の調整が必要です。RPAで所定のルールに沿って処理を自動化することで、精度の高い締め処理を実現できるでしょう。

報告書の作成

経理部門では、さまざまな報告書を作成する必要があります。RPAを使用することで、データの収集や計算、フォーマット作成などの作業を自動化し、報告書の作成プロセスを迅速化できます。

データの一致確認と検証

例えば、銀行取引データや売掛・買掛データの一致確認や検証作業は繰り返されるタスクです。RPAを使用することで、データの自動抽出や比較、エラーの検出などを行い、データの整合性を確保します。


このように経理業務におけるRPAの適用範囲は広範です。しかし、自動化できる業務が多いからこそ、まず何から行うのか迷うことも少なくないでしょう。迷った際は、以下の作業をおすすめします。

データのインポート作業

毎月の会計データを作るために、基幹システムなどからデータを取り込む場面において、通常は手作業により基幹システムからCSVファイルをダウンロードし、会計システムにインポート処理する必要があります。そういった業務を、RPAにより自動化できます。

帳表出力

企業では、元帳や試算表に加え、さまざまな管理帳表を定期的に出力するため、スケジュールどおりに出力処理する必要があります。この出力業務もRPAにより自動化できます。各種帳表をスケジュールどおり確実に出力することで、関係部署の業務が滞ることを防ぎ、経営者によるスピーディな意思決定にも役立つでしょう。


経理業務におけるRPAの導入では、特定の組織や業務に合わせてさまざまな作業を自動化することが期待できます。ただし、具体的な業務プロセスの分析と設計、システムとの統合、セキュリティの考慮などが必要です。まずは小さなステップを積み重ねていくスモールスタートを意識しましょう。

RPAの普及により経理の仕事はなくなるのか

RPAにより、経理の仕事に将来性がなくなるとはいえないでしょう。なぜならば、RPAは与えられたシナリオ以外のことはできないからです。既述のとおり、トラブルが起きた場合の修正や個別対応には人間の判断が必要です。RPAが導入されることで、経理の仕事が自動化される一方、創造性や斬新なアイデアを取り入れた企業戦略の構築や、柔軟で感情に寄り添った対応は不得手といえます。人間のスキルは依然として不可欠で、RPAはあくまで経理業務を補助するものと考えられます。RPAをうまく活用することで、人間がコア業務や非定型作業に注力できる体制を目指すといいでしょう。

経理業務では、自動化技術としてのRPAを補助的に活用しながら、高度な専門知識や人間関係の構築力を駆使して、経理のプロフェッショナルとしての価値を組織に提供することが期待されます。

経理業務をRPAで自動化するメリット

経理業務をRPAで自動化することには、以下のようなメリットがあります。

効率化と生産性の向上

RPAにより、繰り返しの作業を自動化することで、時間と労力を節約できます。連続作業で疲弊することはありません。従業員はより戦略的な業務に集中できるため、業務の生産性が向上します。

エラーの削減

データの抽出、処理、転記などの作業を人手によって行う場合、ときにはヒューマンエラーが発生する可能性があります。RPAを使用することでこれらの業務においてミスが減少し、正確な結果を得ることができます。

一貫性とコンプライアンスの向上

RPAは設定されたルールや手順に基づいて作業を実行するため、一貫性とコンプライアンスの確保に役立ちます。会計基準や規制に準拠する必要がある場合、それに沿ったRPAの設定をすることで、正確かつ一貫したプロセスの実現に寄与します。

拡張性と柔軟性

多くのRPAは可変性と拡張性に優れています。業務量の増加や作業領域を増やしたい、もしくはプロセスを調整したいといった場合に、柔軟かつ迅速な対応が可能です。

作業環境の向上

繰り返しの単調な作業をRPAに任せることで、従業員の働きやすさや作業環境が改善されます。従業員はより意義のある業務に集中できるため、モチベーションや満足度の向上にもつながるでしょう。


これらのメリットにより、RPAによる経理業務の自動化は組織にとって効果的であり、生産性向上と業務品質の向上に貢献することが期待されます。

RPAの導入は大変なのか?

RPAを活用する際、最初にネックとなるのが、「導入の手間が大変そう」といった心理的なハードルです。特に初めて業務にRPAを導入しようとする場合は、実際に導入する前につまずいてしまうことが少なくありません。しかし、既述のように、経理業務においてRPAに向いた業務は多くあります。業務を適切にRPAに振り分けるためには、業務のプロセスを理解したうえで、「業務の洗い出し」をきちんと行うことが重要です。

さらにここでポイントとなるのが、業務のプロセスを構造化するとともに、「自動化できる業務」と「自動化できない業務」を区分することです。自動化できる業務をRPA化の対象として切り出すとともに、自動化が難しく、人間がやるべき業務を、RPA化の対象から外す必要があります。

こうした業務の洗い出しをせずに、「あらゆる業務にRPAを導入しよう」と考えると、結局は業務の効率化につながらず、失敗する確率が高くなってしまいます。業務の洗い出しは、RPA導入の成果を高めることに加え、「この業務はそもそも不要」「このプロセスはもっと効率化できる」といった気づきを得るきっかけとしても有用です。


業務の洗い出し

経理業務でRPAを活用するポイント

経理業務でRPAを活用する際は、特定の小さな定型作業から試してみることで、心理的なハードルを下げられます。また、以下のポイントを理解しておくと活用につなげやすいでしょう。

繰り返しのタスクと定型業務での活用

RPAは、繰り返し行われる業務の自動化に最適です。例えば、データ入力、仕訳の作成などが該当します。人間の手作業による処理では時間と労力がかかりやすい業務を切り出してRPAに割り当てることで、より大きな効果が得られるでしょう。

複数のシステムやアプリケーションの連携

経理業務では、さまざまなシステムやアプリケーション間でデータのやりとりが必要です。RPAはこれらのシステムやアプリケーションを連携させるための自動化を提供します。異なるシステムやアプリケーション間のデータ抽出、変換、転送などをRPAによって自動化することで、エラーやミスを軽減できます。

経理のルールを基にしたプロセス設計

経理業務は一般的に法律とルールに基づいています。入金額と請求書を突き合わせて、金額に間違いがないことを確認したら請求書を所定のフォルダに移動させるなどします。RPAならこれらのルールをプログラム化し、自動的に処理できます。

大量のデータ処理

経理業務では、大量のデータを処理する必要があります。RPAは高速かつ正確なデータ処理を提供して、人間の手作業では困難な高いパフォーマンスを実現します。膨大なデータの集計、分析、報告などをRPAによって自動化することで、効率的にデータを扱うことができます。

データの精度と信頼性の確保

会計や財務に関連する経理業務では、データの正確性と信頼性が非常に重要です。RPAはプログラムに従って作業を実行するため、一貫した結果を提供し、ヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。これにより、経理業務の品質とデータの精度を確保できます。


これらのポイントを考慮して経理業務でRPAを活用すると、効率化、正確性の向上、データ処理の迅速化などの利点を生かせます。ただし、RPAの導入には適切なプロセスの分析と設計、セキュリティの考慮、適切なトレーニングと監視などが必要です。また、信頼できるベンダーを見極めることも重要です。

経理のRPA事例

OPEN21を導入された株式会社メイコー様において、特にRPAで効果を発揮した事例を紹介します。

RPAが会計処理の自動化・効率化に貢献

既存システム(予実管理システム)との連携しやすいOPEN21専用のRPA(AccountechRPA)を活用しました。具体的には、特定の時間に予実連携用の設定パターンで元帳データを出力し、「ICSデータコンバータ(IDC)」で取込用データに変換後、予実管理システムに取り組むという一連の作業を自動化しました。

多くのドラッグ&ドロップで設定することができ、複雑なプログラム開発は不要であること、検討時のシステム検証における担当者の対応力や提案スピードなども導入の決め手となったそうです。

詳細「会計システム導入事例:DX推進に向けた会計情報の活用」

経理・会計業務の効率化を実現するために、ICSパートナーズの提案

企業向け会計システム「OPEN21 SIAS」を開発、販売しているICSパートナーズ社では、OPEN21 SIASシリーズのオプションツールとして、会計業務に特化したRPA「AccountechRPA」を提供しています。AccountechRPAは、会計業務における定型業務をロボットで正確・スピーディに自動化する機能を多数備えています。

AccountechRPAを利用することで、データのインポート業務や、帳表出力といった業務のほか、定型化できる伝票入力や仕訳データのエクスポートなど、会計システムの標準機能を簡単にRPA化できます。

しかも、「どの業務から自動化したらいいのかわからない」という場合でも、AccountechRPAなら簡単にスモールスタートができます。AccountechRPAには経理業務で使うロボットがあらかじめ備わっているため、自動化のシナリオをドラックアンドドロップで簡単に設計し、トライできます。

さらに、RPA導入にあたって必須となる社内体制づくりや業務の洗い出し作業も、AccountechRPAを導入すれば不要に。「決算書を出す」「管理資料を作成・配布する」「基幹システムからデータを取り込む」といった、経理部門の一般的な業務を想定したパッケージとなっているため、AccountechRPAのパーツを組み合わせるだけでRPAの構築が可能です。

AccountechRPAはICSパートナーズ社によって自社開発されたシステムです。そのため、イニシャルコスト、ランニングコストが低く、導入後のバージョンアップやサポートなどの対応も万全。例えば、汎用RPAの場合には、対象システムを処理するために新たにロボットを開発しなくてはならず、PC環境やサーバ環境が変わったり、バージョンアップの際にボタンの位置が変わったりするだけで、エラーが起きてしまいます。しかし、自社開発のAccountechRPAではこのような問題が起きず、100%の正確性を担保します。

ICSパートナーズの会計システム「OPEN21 SIAS」の導入支援と同時にRPA設計ができるため、早期に稼働できます。経理・会計業務のさらなる効率化のために、会計業務に特化したAccountechRPAを一度試してみてはいかがでしょうか。