- 2025. 04. 15
- 業務改善・業務効率   
- 経理DX   
- IT化   
- その他のITツール   
データ連携ツールとは?機能や種類、選定時のポイントをわかりやすく解説
企業のDXへの取り組みが進展するなか、各部門に散在するデータを効率的に統合する方法に頭を悩ます企業は少なくありません。データ連携ツールは、こうした課題を解決するツールとして注目されています。本記事では、データ連携ツールの基本概念から機能、種類、導入メリットまで、ツール選定に役立つ知識を解説します。
- 目次
-
データ連携ツールとは
データ連携ツールとは、企業内外の異なるシステムやアプリケーション間でデータをスムーズに移動・変換・統合するためのツールです。通常、企業では、販売管理システム、在庫管理システム、人事システムなど、業務ごとに異なるシステムが導入され、相互に連携していないことがほとんどです。データ連携ツールは、点在するデータを効率的に活用するための橋渡し役として機能します。
データ連携ツールが注目される理由
企業活動のデジタル化が進み、DXへの取り組みがすすむなか、各部門で生成されるデータ量は急増しています。これらのデータが個別のシステムに分散していると、データが組織全体で共有されない「データのサイロ化」と呼ばれる状態に陥ります。この状況では、全体像の把握や分析が困難になり、適切な意思決定が阻害されます。
データ連携ツールは、こうした孤立したデータの壁を取り払う役割を果たします。導入することで、組織全体でのデータ活用が促進され、データドリブン経営の実現につながると期待されています。
DXやサイロ化、データドリブン経営については、下記の記事で詳しく解説しています。
データ連携ツールの主な機能
データ連携ツールの主な機能を紹介します。それぞれの機能が組み合わさることで、効率的なデータの流れを構築することが可能です。
データ抽出機能
さまざまなデータソース(RDB、クラウドサービス、API、ファイルなど)からデータを取得する機能です。定期的な自動取得やリアルタイム連携など、ビジネス要件に応じた柔軟な設定が可能です。例えば、販売管理システムから毎日の売り上げデータを自動的に抽出して集計システムに送る、といったデータの連携が可能です。
データ変換・加工機能
取り出したデータを必要な形式に加工する機能です。フォーマット変換、不要データの削除、計算処理など、連携先システムで活用できる形に整えます。例えば、カンマ区切り(CSV)のデータをJSON形式に変換したり、複数のデータを組み合わせて新たな指標を算出したりすることができます。
データ配信・同期機能
変換・加工したデータを目的のシステムやアプリケーションに配信・同期します。一括バッチ処理やリアルタイム連携などの配信方法を選択できます。配信後は、別のデータベースへのデータ転送やオンラインストレージ間の自動同期を行います。これにより、複数のシステムで常に最新のデータを共有することができます。
データバックアップ・復元機能
重要なデータを定期的に自動バックアップし、必要に応じて復元できる機能です。データ損失リスクを軽減し、データの継続性を確保します。システム障害や人的エラーによるデータ消失時にも、速やかに復旧することが可能になります。
データ分析・レポート機能
連携したデータをグラフやチャートで可視化し、分析やレポート作成を支援する機能です。データ活用の促進と意思決定支援に役立ちます。複数のシステムからデータを一元的に集約して分析することで、部門を横断した傾向把握や予測が可能になります。
セキュリティ管理機能
データの暗号化、API認証、アクセス制御、監査ログなど、データセキュリティを確保するための機能です。特に機密性の高いデータを扱う場合に重要となり、データ連携における情報漏洩リスクを抑えることができます。
フロー管理・モニタリング機能
データ連携プロセス全体を管理・監視する機能です。エラー通知、実行ログ管理、パフォーマンス分析などを通じて、安定したデータ連携を支えます。連携処理の遅延や失敗を早期に検知し、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。
データ連携ツールの種類
データ連携ツールは、目的や機能によっていくつかの種類があります。
EAI (Enterprise Application Integration) ツール
EAIは、企業内の複数システムをリアルタイムで連携させ、業務プロセスを自動化するツールです。例えば、受注システムの注文情報をもとに、在庫システムを即時更新し、同時に物流システムへ出荷指示を送信することが可能です。こうした横断的な業務プロセスにおいて、データ連携をスムーズに行う際に役立ちます。
ETL ( Extract, Transform, Load )ツール
ETLは、データ分析のためにデータを集約するためのツールです。異なるデータソースから情報を「抽出(Extract)」し、分析しやすい形に「変換(Transform)」して、BIツールやデータウェアハウスに「ロード(Load)」します。主に定期的なバッチ処理で運用され、例えば毎晩、販売システムや顧客管理システムからデータを収集し、経営分析用のデータウェアハウスに集約します。
BIツールについては、「BIツールの基本や活用シーンを解説!データドリブンな組織を作るためのガイド」で詳しく解説しています。
API管理ツール
APIとは、異なるシステムやアプリケーションが互いにコミュニケーションするための「窓口」や「共通言語」のようなものです。API管理ツールは、このAPIを設計・公開・管理するためのプラットフォームです。企業が外部のシステムやサードパーティのアプリケーションと安全に情報をやり取りするために使われます。
データ連携ツール導入のメリット
データ連携ツールを導入することで、次のようなメリットを得られます。
開発の工数削減と効率化
システム間連携に必要なプログラミング作業を大幅に削減できます。ノーコード・ローコード機能やあらかじめ用意された接続アダプタを活用することで、スクラッチ開発に比べ短期間で連携環境を構築できます。特にIT人材が不足している企業では、専門知識がなくても連携設定が可能になるため大きな効率化が実現します。また、既存の連携設定を再利用することで、新たなシステム追加時の開発工数も削減できます。
既存システムの機能拡張
データ連携ツールを利用することで、既存システムのAPIを簡単に活用できるようになります。APIを直接扱うための専門知識がなくても、データ連携ツールのインターフェースを通じてさまざまなシステムやアプリケーションのAPIを連携させることが可能です。これにより、既存システムの機能を拡張し、新しいビジネスニーズに柔軟に対応できるようになります。
データ連携ツール選定の重要ポイント
データ連携ツールの選定にあたって、チェックすべき重要なポイントを解説します。
連携したいシステム・データ形式と互換性があるか
データ連携ツールを選ぶ際は、連携したいシステムやアプリケーションの種類に対応しているかを最優先で確認しましょう。特に、業界特有のシステムやレガシーシステムとの連携が必要な場合には、注意が必要です。また、ツールがサポートするデータ形式(CSV、XMLなど)と自社で利用しているデータ形式の互換性を事前に確認することも重要です。
開発・設定が容易か
視覚的なインターフェースでフロー設計ができるか、テンプレートやサンプルは充実しているか、デバッグ機能は使いやすいかなどを評価しましょう。現在のデータ連携ツールの多くはノーコード・ローコード型で設計されており、プログラミング知識がなくても直感的な操作で連携設定が可能です。特に、IT人材が少ない企業では、このようなツールを選ぶことで、IT部門への依存度を下げ、現場主導でデータ連携をすすめることができるでしょう。
拡張性やカスタマイズ性があるか
データ量の増加や連携システムの追加といった将来的な変化の可能性を考慮して、柔軟に対応できる拡張性があるかを確認しましょう。自社の業務フローに合わせたカスタマイズができるかどうかも、重要な判断基準です。
セキュリティ対策が万全か
データ連携は情報セキュリティの観点からも重要な要素です。特に個人情報や機密情報を扱う場合は、データの暗号化、アクセス制御、監査ログなどのセキュリティ機能が充実しているかを確認します。必要に応じてSSOなどの認証連携に対応しているかもチェックしましょう。
データ活用の実現には自社にあったデータ連携ツール導入が大切
データ連携ツールを導入することで、企業内に分散するシステムやアプリケーション間でデータをスムーズに集約・統合できます。データ連携ツールには、EAIをはじめいくつかの選択肢があります。選定にあたっては、チェックすべきポイントを押さえ、自社に適したツールを見極めることが重要です。ICSパートナーズでは、お客様のシステム環境、課題に応じたデータ連携ソリューションを提供しています。
データ連携にお悩みの際は、ぜひICSパートナーズにご相談ください。