- 2025. 02. 25
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サイロ化とは?発生する原因や問題、解消するための方法をわかりやすく解説
組織やシステムが個々に分断され、連携が取れない状態を「サイロ化」と呼びます。サイロ化は、企業の成長に伴い形成されやすく、業務効率の低下や競争力の低下を引き起こすおそれがあります。本記事では、サイロ化の意味や発生の原因、問題点、そして効果的に解消する方法までを詳しく解説します。
- 目次
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サイロ化とは
「サイロ化」という言葉は、穀物を貯蔵する円筒形の建造物「サイロ」から派生しています。それぞれのサイロが独立して穀物を保管するように、組織やシステムが個々に分断され、相互のやり取りが制限される状態を指します。企業においては、部門やシステムが独立して機能し、他との連携や情報共有が十分に行われない状況を表現しています。主に次の3領域で発生します。
組織のサイロ化
組織のサイロ化は、各部門が独自の目標や方針を持ち、他部門との協力や情報共有が限定的になる状態を指します。例えば、営業部門が把握している顧客ニーズが製品開発部門に十分共有されていない状況や、人事部門と事業部門の間で人材育成方針の連携が不足している事例が挙げられます。このような状態では、組織全体としての価値創出が難しくなるでしょう。
システムのサイロ化
システムのサイロ化は、異なるシステムやデータベースが個別に運用され、相互連携が困難な状態を指します。部門ごとに最適化された独自のシステムを導入することで、一見効率的に見えても、実際には情報の一元管理や横断的な分析が阻害される場合が少なくありません。
データのサイロ化
データのサイロ化は、顧客や取引、製品など企業が保有する情報が、部門やシステムごとに分断されて保管される状態を指します。このような分断状態では、データを組み合わせた総合的な分析や活用が困難となり、経営判断の遅れやビジネス機会の損失につながりかねません。
システムやデータの一元管理については、下記で詳しく解説しています。
一元管理とは?メリット・デメリットを知り経営の効率化に活かそう!
サイロ化が発生する原因
サイロ化を引き起こす主な原因を解説します。
縦割り組織構造の定着
企業の成長過程における組織の肥大化や業務の専門化は、縦割り組織構造を自然と形成しサイロ化を生み出します。自部門の成果のみを重視する傾向が強く、組織全体での価値創出が妨げられがちです。さらに、近年のリモートワークの普及は、こうした分断状態をさらに加速させるといえるでしょう。
個別に最適化されたシステムの存在
各部門が独自に業務効率化を追求してきた結果、相互に連携できない独立したシステムが乱立する事態が発生しています。また、レガシーシステム(古い基幹システム)が更新されないまま残存する場合には、システム間連携が困難な状況が生まれやすくなります。システム刷新には多大なコストと時間が必要となることから、問題を認識しながらも改善が進まないケースが多く見られます。
サイロ化によって生じる具体的な問題
サイロ化がもたらす影響は、企業の競争力や成長に次のような問題を引き起こします。
業務効率の低下
部門間での調整に想定以上の時間と労力が必要となり、意思決定プロセスに遅れが生じることが少なくありません。同様の業務が複数の部門で重複して行われるケースも見られ、人的リソースが効率的に活用できていない状況につながる可能性があります。また、部門間での承認フローや確認作業が複雑化することで、本来シンプルな業務でも処理に時間を要しがちです。
情報共有の分断
部門間でのコミュニケーション不足により、重要な情報が適切なタイミングで共有されにくい状況が生じやすくなります。既に解決済みの問題に他部門が時間を費やすといった非効率や、成功事例やノウハウが組織全体で十分に活用されていないケースも起こりがちです。また、顧客との接点を持つ複数の部門で情報が断片化される場合には、一貫した顧客対応を行うのは難しいでしょう。
データ活用の限界
異なるシステムに分散して保存されたデータの収集・統合には相当の工数が必要です。システムごとにデータ形式や定義が異なるため、連結会計の場合には、データの整合性確保に多くの時間と労力を要することも少なくありません。決算の早期化やデータドリブン経営の実現を妨げる要因にもなるでしょう。
連結会計やデータドリブン経営、決算早期化については、下記で詳しく解説しています。
サイロ化を解消する方法
サイロ化を解消する方法は、次の通りです。
部門横断的な組織体制の構築
経営層のリーダーシップのもと、段階的に部門や職種の垣根を越えた組織づくりを進めていくことが重要です。部門横断的なプロジェクトチームの編成や人材交流の活性化を通じて、各部門の業務内容や特徴への相互理解を深めていくことができるでしょう。小さな成功事例を積み重ねながら、徐々に協力関係を構築することで、より柔軟で効率的な組織運営の実現につながります。
情報とナレッジの一元管理基盤の整備
散在する経営データやナレッジを組織全体で活用できる環境を整備することは、サイロ化の解消に有効な方法のひとつです。具体的には次のような方法があります。
データ統合システムやツールの導入
販売や購買、人事など、さまざまな業務データを一元的に管理・活用できるシステムやツールには、BIツールやERP、会計システムなどがあります。これらの導入により、部門間のデータ連携をスムーズに行え、経営情報の可視化や意思決定の迅速化が期待できます。
BIツールやERP、会計システムについては、下記で詳しく解説しています。
ナレッジ共有プラットフォームの活用
社内SNSやナレッジマネジメントツール、プロジェクト管理ツールなどを活用することで、部門を越えた情報共有や協業が促進されます。ベストプラクティスや成功事例の共有も容易になり、組織全体の生産性向上につながります。
システムの選定においては、自社の課題を把握したうえで、企業の規模や業務の特性に応じたシステムを選択することが望ましいでしょう。既存システムとの連携性や将来的な拡張性を考慮して総合的に判断する必要もあります。こうした判断には、高度な専門知識が求められるため、自社のリソースだけでは対応が難しい場合があります。その場合は、外部の知見を活用することも有効な選択肢となり得ます。
サイロ化解消には組織・システムの両面での対応が必要
組織・システム・データの各領域で発生するサイロ化は、業務効率の低下や意思決定の遅延などを引き起こします。その解消には、部門横断的な組織体制の構築と、経営データを一元的に管理・活用できる基盤の整備が重要です。こうした取り組みを効果的に進めるには、適切なシステムの選定と活用が不可欠です。自社の課題に適切に対応するためには、専門家の知見を活用することも選択肢のひとつです。サイロ化解消に関してお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。