業務的意思決定と構造的意思決定
意思決定とは、企業が問題を解決するために将来においてとるべき複数の代替案を評価して選択することです。
管理会計で扱う意思決定には、業務的意思決定と構造的意思決定があります。
業務的意思決定とは、日常的な業務活動に関する短期的な意思決定です。
・自社で製造するか購入するか、追加して加工するかそのまま販売するか等
構造的意思決定とは、経営層が行う組織の構造に変更を及ぼす中長期的な意思決定です。
・製造設備の取得や除却、新製品開発等
部品を購入するか自社で製造するか
計算例
甲社がA部品を購入する場合、20,000円かかります。
A部品を自社で製造する場合、1個当たり以下の製造費用がかかります。
・直接材料費 8,000円
・直接労務費 6,000円 2,000円/時間×3時間
・変動製造間接費 4,000円 2,000円/時間×2時間
・固定製造間接費 2,500円 2,500円/時間×1時間
固定製造間接費は、A部品を製造しなくても発生します。
A部品の必要生産量は、100個であり、その製造のための生産余力はあります。
回答
甲社がA部品を購入する場合、購入費用が1個当たり20,000円かかります。
A部品を自社で製造する場合、固定製造間接費は、A部品を製造しなくても発生するため埋没原価となります。
そのため固定製造間接費は考慮せず18,000円と20,000円を比較して自社製造が有利となります。
購入する場合でも、固定製造間接費は、発生するためです。
また、A部品製造のための生産余力はあるため、A部品の製造のためにB製品等他の製品の製造を減らすことが必要でないため機会原価を考慮することは必要ありません。
逆にA部品製造のための生産余力がない場合、A部品製造のためにB製品の製造を減らす場合、A部品の差額原価とB製品の差額原価の比較を行うことが必要になります。
注文を受けるかどうか
計算例
甲社がA部品を製造するために1個当たり以下の製造費用がかかります。
・直接材料費 8,000円
・直接労務費 6,000円 2,000円/時間×3時間
・変動製造間接費 4,000円 2,000円/時間×2時間
・固定製造間接費 2,500円 2,500円/時間×1時間
A部品の製造のための生産余力はあります。
A部品に対して乙社から1個あたり19,000円で100個の注文があります。
甲社は、乙社からの注文を受けた方が有利でしょうか。
計算例
①差額収益
19,000×100=1,900,000円
②差額原価
(8,000+6,000+4,000)×100=1,800,000円
③差額利益
1,900,000-1,800,000=100,000円
甲社は、乙社からの注文を受けることで、差額利益が100,000円発生します。
そのため注文を受ける方が有利です。