第2回 「損益分岐点分析」
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損益分岐点分析とは
損益分岐点とは、収益ー費用=0となる売上高のことです。
図で示すと以下になります。
変動費、固定費、損益分岐点の計算方法は、次の頁で説明します。
損益分岐点分析の計算方法
変動費とは、売上高に比例して増減する費用のことです。
・たとえば、仕入高、販売手数料、外注費、商品の出荷のための運送費
固定費とは、売上高が増減しても増減しない費用のことです。
・たとえば、給与、オフィスの賃料、固定資産税
損益分岐点は、以下の計算式で求めます。
損益分岐点分析からわかること
損益分岐点
収益ー費用=0となる売上高
その会社でいくら売上をすると損益が0となるのかわかります。
・ある会社の損益分岐点が1億円とします。
当期の売上高が1億円を超えると利益が出て、1億円を下回ると損失が出るということです。
A社とB社があります
・A社の損益分岐点が1.5億円
・B社の損益分岐点が1.8億円
A社とB社の今年度の売上高がともに1.7億円の場合
・A社は利益が出ます
・B社は損失が出ます
損益分岐点分析比率
損益分岐点比率とは、実際の売上高と損益分岐点の比率を計算したものです。
損益分岐点比率(%)=損益分岐点÷売上高×100
A社とB社があります。
・A社の損益分岐点が1.5億円、前期の売上高が2億円、当期の売上高が1.8億円
・B社の損益分岐点が1.8億円、前期の売上高が2億円、当期の売上高が1.8億円
・A社の損益分岐点比率(前期)=1.5÷2×100=75%
・B社の損益分岐点比率(前期)=1.8÷2×100=90%
→前期のA社の損益分岐点比率は、 B社の損益分岐点比率より低い
・A社の損益分岐点比率(当期)=1.5÷1.8×100=83%
・B社の損益分岐点比率(当期)=1.8÷1.8×100=100%
→当期のA社の損益分岐点比率は、 B社の損益分岐点比率より低い
・損益分岐点比率が低いA社の方が売上高が減少しても利益が出ます。
損益分岐点比率は、低い方が望ましい。
安全余裕率
安全余裕率とは、実際の売上高が損益分岐点をどれくらい上回っているかを示す比率のことです。
安全余裕率(%)=(売上高-損益分岐点)÷ 売上高×100
A社とB社があります。
・A社の損益分岐点が1.5億円、売上高が2億円
・B社の損益分岐点が1.8億円、売上高が2億円
・A社の安全余裕率=(2ー1.5)÷2×100=25%
・B社の安全余裕率=(2ー1.8)÷2×100=10%
→A社の安全余裕率は、 B社の安全余裕率より高い
安全余裕率が、高い方が望ましい。
限界利益について
損益分岐点分析は、会社全体の収益と費用が一致する売上高です。そのため個々の製品やサービスの採算性を把握することが出来ません。
(固定費を個々の製品やサービスに何らかの基準でするこ按分することで個々の製品やサービスの採算性を把握することが出来ますが。)
個々の製品やサービスの採算管理で使用する限界利益について説明します。
限界利益とは、次の式で求めます。
・限界利益=売上高ー変動費
・限界利益がプラスの場合、固定費を回収することができます。
(売上高ー変動費)ー固定費=利益または損失
限界利益ー固定費=利益または損失
限界利益が10、固定費が25の場合、10ー25=ー15となり、固定費が10だけ回収できます。
・製品またはサービスごとに限界利益を計算して限界利益が大きい製品またはサービスの販売を強化することで利益を大きく出来ます。
・一方、限界利益がマイナスの製品またはサービスの場合、販売を中止するか売上単価の見直し、費用の削減策を検討します。
限界利益の計算例
・A製品の販売単価 100 変動費単価 80
・B製品の販売単価 70 変動費単価 30
・固定費 120
質問
①A製品1個、B製品1個のそれぞれの限界利益を求めてください
②A製品を何個販売すれば損益分岐点になりますか
③B製品を何個販売すれば損益分岐点になりますか
④どちらが少ない個数で損益分岐点になりますか
回答
①A製品 (100-80)×1=20、B製品 (70-30)×1=40
②20×X-120=0 X=6
(売上高ー変動費)ー固定費=0 限界利益ー固定費=0となる売上高が損益分岐点
③40×X-120=0 X=3
④(限界利益が大きい)B製品
- 筆者プロフィール
- 吉田 圭一
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大手監査法人の2法人で監査・上場準備・アドバイザリーサービス、会計パッケージソフトウェア企業で法人税申告書等のソフトウェアの企画・設計等、外資系ERP企業でERPの導入、
外資系IT企業でコンサルティングサービス、情報通信会社でERP導入とコンサルティングサービスに従事し、現在に至る。公認会計士、システム監査技術者。