- 2024. 11. 27
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経理の無駄な作業を徹底排除!効率化のための3つの方法や成功事例を紹介
経理業務の無駄な作業は、企業の生産性と収益性を低下させる要因となっています。時間の浪費やヒューマンエラーのリスク増大など、さまざまな悪影響をもたらします。本記事では、経理の無駄な作業とその影響を解説し、業務効率化のための具体的な方法を3つ提案します。また、これらの課題を効果的に解決した企業の事例も紹介します。
- 目次
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経理業務における無駄な作業の実態
経理業務において頻繁に見られる無駄な作業には次のようなものがあります。それぞれの問題点と合わせて解説します。
手作業による帳票入力
請求書や領収書のデータを手入力する作業は、経理部門の大きな負担となっています。特に月末や決算期には作業量が倍増し、深夜までの残業も珍しくありません。ミスのリスクも高まります。
紙ベースの文書管理
紙の請求書や領収書の保管は、スペースと労力の両方を必要とします。多くの企業では、法定保存期間に対応するため、数年分の書類を保管しています。これらの書類から特定の取引情報を探し出すのは非常に時間がかかる作業です。また、紙の劣化や災害リスクもあり、重要書類の長期保存には大きな課題があります。
小口現金の管理
日々の少額支出を現金で管理する作業は、手間がかかる作業のひとつです。例えば、オフィス用品の購入や交通費の精算など、日々の小さな取引を正確に記録し、残高を確認する必要があります。現金を扱うことによる紛失リスクや不正使用の可能性も考慮すると、小口現金の管理は大きな負担です。
データの二重入力と手動集計
経理業務において、同じデータを複数のシステムに入力する二重作業は珍しくありません。典型的な例として、請求書のデータを会計システムと在庫管理システムの両方に個別に入力する作業が挙げられます。さらに、経営陣向けの財務レポートや定期的な報告書の作成時には、複数のシステムからデータを抽出し、手作業でExcelを用いて集計・加工する必要があります。多大な時間を要することから、経理部門の大きな負担になっています。
紙ベースによる押印、承認作業
紙の書類を回覧して押印や承認を得る方法は、時間がかかるうえ、書類紛失のリスクも伴います。また、承認中の書類の進捗状況を確認するのも簡単ではありません。このプロセスが業務の遅延を引き起こし、組織全体の生産性低下につながっています。
経理業務の無駄な作業がもたらす悪影響
無駄な作業は放置することのより次のような悪影響をもたらすおそれがあります。
時間の浪費
戦略立案に充てるべき時間が単純作業に費やされています。経理部長が財務戦略を考える代わりに、Excel上で数字の突合せに追われるといった状況も少なくないでしょう。こうした状況では、経理部門全体の生産性が低下し、企業の競争力にも影響を与えかねません。
ヒューマンエラーの増加
手作業が多いほど、ミスが発生するリスクが高まります。特に、長時間の残業後に行う数字の入力作業では、桁の誤りや転記ミスが起きやすくなります。こうしたエラーは、後の修正作業に更なる時間を要するだけでなく、最悪の場合、誤った財務判断につながる可能性もあります。
コストの増加
非効率な作業は、人件費や資源の無駄遣いにつながります。残業代の増加はもちろん、紙や印刷にかかるコスト、さらには保管スペースの確保など、目に見えないコストも積み重なっています。紙の劣化や災害リスクまで考慮すると、さまざまな形で企業の収益性を圧迫します。
データの信頼性低下
手作業による誤りや遅延は、財務データの信頼性を損なう可能性があります。月次決算の数字が遅れがちになると、タイムリーな経営判断は難しくなるでしょう。また、度重なる修正や訂正は、経理部門の信頼性自体を低下させ、他部門との連携にも支障をきたすおそれがあります。
経理業務の無駄を効率化する3つの具体的方法
1. 業務プロセスの可視化と分析
まず、現状の業務フローを洗い出し、図式化することから始めましょう。各タスクにかかる時間を計測し、どこにボトルネックがあるか特定します。例えば、請求書処理の流れを追跡すると、承認プロセスに無駄な待ち時間があることが判明するかもしれません。この分析結果をもとに、重複作業や不要なステップを見直し、より効率的なプロセスを設計できます。可視化により、チーム全体で改善点を共有し、効率化への取り組みを促進できるでしょう。
2. 経理業務を効率化するシステム・ツールの活用
適切なシステムやツールの導入は、経理業務の効率を大幅に向上させます。主なシステムやツールには以下のようなものがあります。
OCR(Optical Character Recognition、光学文字認識)技術
請求書や領収書のデータを自動で読み取り、電子データ化することで、入力作業を省力化できます。手入力に比べて大幅な時間短縮とヒューマンエラーの削減が可能です。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール
データの転記や定期的なレポート作成、請求書の発行といった定型的な作業を自動化できます。人間が行う作業を正確に模倣し、24時間365日稼働させることが可能です
RPAについては、「RPAで経理・会計業務の効率化を!導入メリットや活用のポイントを紹介」で詳しく解説しています。
クラウド運用の会計システム
データ集計の自動化をはじめ、リアルタイムでの財務状況把握や場所を問わないデータアクセスが可能になります。複数の担当者が同時に作業でき、情報共有も容易です。近年では、自動仕訳機能やAI予測分析など、最新のテクノロジーを活用した機能が充実したシステムもあります。
これらのシステムやツールの導入にあたっては、現場のニーズをよく理解し、使いやすさとセキュリティのバランスを考慮することが重要です。また、導入後の従業員教育や既存の業務フローの見直しなども並行して行うことで、より効果的な活用が期待できます。
3. アウトソーシングの戦略的活用
すべての業務を社内で抱え込む必要はありません。給与計算や請求書発行などの定型業務は、専門業者に委託することで、内部リソースを戦略的な業務に振り向けられます。税務申告など専門性の高い業務を外部の専門家に依頼すれば、最新の法令に対応しつつ、リスクも軽減できるでしょう。また、繁忙期には一時的に業務の一部を外注することで、柔軟に対応できます。アウトソーシングを活用する際は、コスト面だけでなく、品質管理や情報セキュリティにも十分注意を払いましょう。
経理業務の効率化を進める際の注意点
新しいシステムや業務プロセスの導入には、従業員の抵抗を招くこともあるでしょう。長年慣れ親しんだやり方を変更することへの不安や、新しい技術への苦手意識がその原因となります。このような抵抗を軽減するためには、効率化の目的と期待される成果を明確に説明し、従業員の理解を得ることが重要です。
経理業務の効率化の成功事例
会計システムの見直しにより、経理業務の効率化に成功した事例を紹介します
事例:株式会社シダー
100以上の拠点を展開する介護サービス事業の同社は、経理業務の膨大化に直面していました。特に、拠点で2つのワークフローシステムを併用する非効率な運用や、表計算ソフトによる煩雑な連結決算処理が大きな課題でした。これらを解決するため、同社は綿密な比較検討を経て、OPEN21 SIASの導入を決定しました。この新システムの導入より、ワークフローの一元化と電子化、さらにデータの自動連携が可能となりました。拠点業務の負担が大幅に軽減され、連結決算の効率化と月次・四半期決算の早期化を実現しました。
詳細は「会計システムOPEN21導入事例:電子化を機に自動化も実現し大幅に効率化」にてご確認いただけます。
経理業務の効率化は企業の競争力向上につながる
経理業務の効率化は、企業の競争力強化に直結する重要な課題です。適切なシステムの導入やプロセスの見直しにより、経理部門の生産性を大幅に向上させることができるでしょう。経理業務の効率化は、単に作業時間の短縮だけでなく、戦略的な財務管理や迅速な意思決定支援にもつながります。各企業の状況に応じた最適な方法を選択し、継続的な改善を進めることが重要です。
経理業務の効率化にお悩みの場合は、ぜひICSパートナーズへご相談ください。