• 2024. 10. 15
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EPMとは?
BI・ERPとの違いや導入のメリット、注意点を解説

EPMとは?BI・ERPとの違いや導入のメリット、注意点を解説

近年、企業経営において、意思決定の迅速化と業績管理の強化が求められています。そのような中、注目を集めているのがEPM(Enterprise Performance Management)です。EPMを導入することで、業務プロセスの可視化、意思決定の迅速化など様々な効果が期待できる一方で、導入にあたっては十分な準備が必要です。本記事では、EPMの概要や導入メリット、さらには導入時の注意点などを解説します。ぜひ、自社の発展に役立ててください。

目次

EPMとは

EPM(Enterprise Performance Management)とは、企業の業績管理を支援する経営手法の総称です。経営戦略の策定から実行、モニタリング、分析までを一貫して行うことで、企業のパフォーマンス向上を目指します。EPMは、CPM(Corporate Performance Management)と呼ばれることもあります。

EPMは、以下の4つのプロセスを通じて企業のパフォーマンス向上を支援します。


1.戦略策定:企業の目標に基づいた戦略を立案する

2.実行:戦略を実行に移すための具体的な計画を作成する

3.モニタリング:計画の進捗状況を定期的に確認する

4.分析と改善:結果を分析し、必要に応じて戦略や計画を修正する


EPMは、これらのステップを一貫して管理することで、企業の意思決定の質を高め、業績向上につなげていきます。

EPMが注目される背景

EPMが注目される背景には、以下のような理由があります。

グローバル競争の激化

企業のグローバル化が進む中、世界規模での競争が激化しています。このような環境下で生き残るためには、グローバルな視点で経営状況を把握し、素早く的確な意思決定を行うことが求められています。そのためには、世界中の事業拠点から収集されたデータを統合し、リアルタイムで分析できる仕組みが必要不可欠です。

経営の透明性

企業経営に対する社会的な監視の目が厳しさを増す中、経営の透明性を高めることが強く求められるようになりました。ステークホルダーから信頼を得るためには、財務情報や経営状況を適切に開示し、説明責任を果たすことが重要です。そのためには、財務データと非財務データを統合的に管理し、必要な情報を迅速に開示できる体制の整備が急務となっています。

データ活用による経営の高度化

ビッグデータやAIなどのテクノロジーの発展により、企業が扱うデータの量は爆発的に増加しています。データを活用し新たなビジネスチャンスを発見したり、業務プロセスを効率化したりすることで、経営の高度化を図ることが求められています。そのためには、社内外から収集されたデータを統合し、高度な分析を行える環境の構築が不可欠です。

データを活用して経営の意思決定を行う「データドリブン経営」については、「データドリブン経営とは?メリットや実現のステップを解説 」で詳しく解説しています。

EPMとBI・ERPとの違い

EPMと似た概念として、BI、ERPがあります。それぞれの違いを解説します。

BI(Business Intelligence)

BIは、企業内外のデータを収集・分析し、意思決定を支援するための手法やツールを指します。データの可視化やレポート作成、ダッシュボードの提供などを通じて、経営者や管理者がデータに基づく意思決定を行えるようサポートします。

BIはEPMにとって重要な要素であり、EPMはBIの機能を活用してデータ分析を行います。ただし、EPMはBIの機能を活用しつつも、戦略策定から実行までの一連のプロセスを管理するという点でBIとは異なります。

ERP(Enterprise Resource Planning)

企業の基幹業務を統合的に管理するためのシステムです。財務や販売、生産、在庫、人事など、企業運営に必要な情報を一元的に管理することで、業務の効率化と情報の可視化を実現します。

ERPは日常的な業務の運用面を支えているのに対し、EPMはERPのデータを活用しながら、より戦略的な意思決定を支援するという違いがあります。

つまり、BIはデータ分析に特化し、ERPは業務運用に重点を置いているのに対し、EPMはそれらを包含しつつ、企業の業績管理を総合的に行う経営手法と言えます。

ERPについては、「ERPと会計システムの違いとは?最適なシステムを選ぶための基礎知識」で詳しく解説しています。

EPMを導入するメリット

EPMを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

業務プロセスの可視化

EPMは、業務プロセスに関連するデータを収集・統合し、可視化できます。これにより、業務の全体像を把握し、ボトルネックや無駄な部分を特定することが可能です。例えば、販売プロセスの各段階の進捗状況や成果を可視化することで、改善すべき点を発見し、適切な対策を講じることができるでしょう。業務プロセスの可視化は、部門間の連携強化や業務の効率化にも役立ち、生産性の向上とコスト削減につながります。

意思決定の迅速化

EPMを活用することで、意思決定に必要な財務・非財務データをリアルタイムで収集・分析できます。これにより、経営層は市場の変化や顧客ニーズに素早く対応した的確な判断を下すことができます。データドリブンな意思決定が可能になり、経営の質の向上につながるでしょう。

ノウハウの蓄積

EPMを導入することで、業務プロセスや意思決定に関するノウハウを組織内で蓄積・共有することができます。蓄積されたノウハウは、業務改善や人材育成に活用できるだけでなく、ベストプラクティスの横展開にも役立ちます。

EPM導入を検討する際の注意点

導入や運用には時間と手間がかかる

EPMの導入には、現状分析や要件定義、システム選定、開発、テスト、移行など、多くの工程が必要です。また、運用開始後も、データの収集・統合・クレンジングなど、継続的な取り組みが求められます。これらには、相応の時間とコストがかかることを認識しておく必要があります。

自社に合ったシステムやツールを選定する

EPMの導入では、自社の規模や業務特性、予算に合わせて、適切なツールやシステムを選定することが重要です。初期コストを抑えるために、スプレッドシートなどの既存ツールから始める方法もありますが、データ量の増加に伴う管理・分析の複雑化と効率低下に注意が必要です。長期的な視点に立ち、自社に合ったEPM専用システムやツールの導入を検討しましょう。その際には、複数ベンダーの提案を比較し、機能や価格、サポート体制などを総合的に評価することが大切です。

社内体制の整備が必要

EPMの導入を成功させるには、経営層から現場の担当者まで、社内の理解と協力が不可欠です。導入目的や期待される効果を明確に伝え、関連部署の協力を得ることが重要です。また、EPMを活用する人材の育成も欠かせません。操作方法やデータ分析の手法などを習得できるよう、研修体制を整備しましょう。

EPM導入はメリット・注意点を踏まえ計画的に進めることが大切

EPMは、企業の業績管理を支援し、意思決定の迅速化と経営の高度化を実現する重要な経営手法です。業務プロセスの可視化や意思決定の迅速化などメリットが少なくありません。EPMの導入にあたっては、自社に合ったシステム選定や社内体制の整備などが必要です。これらは長期的な視点で企業の成長を支える重要な取り組みと捉えることができます。EPMの導入を検討する際は、メリットと導入時の注意点を十分に理解したうえで、自社の状況に合わせて計画的に進めることが大切です。