ERPの個別原価計算の2回目です。
ERPの個別原価計算の1回目は、製造指図書を使用した個別原価計算の内容でした。
この仕組みは、製造指図書を作成し、その製造指図書に材料費等の製造費用を計上し、製造が完了すると製造原価が確定し製品等の計上仕訳が作成されるというものでした。
今回は、プロジェクト原価管理システムです。このシステムは、前回の製造指図書に代わりにプロジェクトという箱に製造費用を計上して管理する仕組みです。
製造費用を計上する先が製造指図書に代わりプロジェクトになったということだけでなく、追加の機能があります。逆に製造指図書を使った仕組みでできたことでこのプロジェクト原価管理システムではできないことがあります。
それでは、プロジェクト原価管理の内容をご紹介します。
2. プロジェクト原価管理の制約 製造指図書の個別原価計算との比較
今回の冒頭でプロジェクト原価管理には、製造指図書を用いた個別原価計算には、無い機能があるということ、逆に、製造指図書を用いた個別原価計算では対応可能であるが、
プロジェクト原価管理では対応できないことがある旨、ご紹介しました。
ここでは、その概要を記載します。
製造指図書を用いた個別原価計算を使用して製品を作成した場合、たとえば、Aという製品を10個製造したとします。A製品10個は、在庫管理システムで在庫計上されます。
一方、プロジェクト原価管理でBという製品を1個製造したとします。しかし、B製品1個を在庫管理システムで在庫計上する仕組みがありません。その理由は、以下になります。
プロジェクト原価管理で管理するものは、大型の工作機械、航空機、船舶、建物、工事、ITプロジェクト等です。
これらのものは、1品ごと完全個別受注生産のものであり完成するとお客様に検収をしてもらい、検収で合格すれば売上計上することを想定しているものです。
そのため製造等する期間も長いものがあり収益認識基準の選択肢として進捗度に基づき売上計上する機能があります。
実際のシステム導入プロジェクトでは、個別原価計算をすると言ってもどちらの個別原価計算の仕組みを採用するのかは、上記の観点も考慮して検討することが必要です。