• 2024. 06. 27
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BIツールの基本や活用シーンを解説!
データドリブンな組織を作るためのガイド

BIツールの基本や活用シーンを解説!データドリブンな組織を作るためのガイド

情報化社会といわれる現代において、データは非常に重要です。しかし、データを有効に活用するためには適切な分析と活用が不可欠で、それを助けるのがBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)です。本記事では、データドリブンな組織を築くための一助となるよう、BIツールの基本や活用シーンを紹介します。BIツールの選定からデータの可視化、選定ポイントにも触れていきますので、データを武器に競争力を高め、成功への道を開拓しましょう。

目次

BIツールとはなにか、注目される背景

データの収集、分析、可視化に特化した機能をもつのがBIツールです。BIツールが注目されるようになった背景には、ビジネス環境の変化が影響しています。

  • 市場の競争激化
  • IoTやスマートフォンなどの登場によって、収集できるデータ量も多様化、かつ増加

上記により、データ駆動の意思決定が不可欠になりました。

企業はバックオフィスシステム、営業支援システム、マーケティングツール、物流倉庫管理システムなど、さまざまなシステムを導入して事業を運営しています。各システム・ツールのデータを、BIツールを活用して一カ所に集め、分析・可視化できれば現場や経営の迅速な意思決定に貢献できます。

ただし、データ量が豊富でも活用できるとは限りません。データ分析の専門家であるデータアナリストやデータサイエンティストが不足している日本において、データを戦略的資産として活用するのは簡単なことではありません。

そこで膨大なデータから洞察を引き出し、効果的な戦略策定や効率的な業務運営を可能にするBIツールが注目されるようになりました。BIツールを活用すれば、専門家でなくともデータアナリストの業務の一部を担えるからです。

BIツールの操作性の向上やユーザーインターフェースも進化しています。提供サービスも豊富になり、BIツールの導入を現実的に検討する企業も増えてきました。

BIツールを活用するメリット

BIツールの活用には多くのメリットがあります。経営に及ぼす効果と、現場で活用する際の具体的なメリットを紹介します。

BIツールが経営に及ぼす効果

第一に、ビジネス上の意思決定をデータに基づかせ、戦略的かつ的確な判断を下す能力が向上します。データの可視化を通じて複雑な情報を分かりやすく提示でき、全体像を把握しやすくなります。データをリアルタイムで追跡し急な変化に迅速に対応できるため、市場動向に適応しやすくなります。

第二に、業務プロセスの最適化や効率化が可能で、コスト削減や生産性向上に寄与します。さらに、顧客の嗜好や行動の理解が深まることで、パーソナライズしたサービス提供が容易になり、顧客満足度が向上します。

最終的に、競争力の維持と成長を支え、新たなビジネス機会の発見にも貢献します。BIツールを活用することは、データ駆動の組織文化を育て、成功への道を切り開く鍵といえます。

BIツールの具体的なメリット

BIツールには、複数システムの蓄積データを集計・分析できる、大量のデータをリアルタイムに近い状態で扱えるという特長があります。具体的なメリットを以下で挙げますが、BIツールと一口でいっても、製品やプランによって性能に差がある点に注意してください。

Excelでもデータ分析や表・グラフの作成が可能ですが、BIツールのように複数システムからデータを集めたり、大量のデータを迅速に分析したりすることは難しいでしょう。また、Excelで進捗管理する場合は、データを手動で更新し共有する必要があります。対してBIツールでは、タイムリーな情報共有が可能です。データベースに書き込まれたタイミングで、ダッシュボードに反映させることが可能です。

専門知識のないユーザーでも利用しやすいセルフサービスBIツールでは、操作性を向上させるためにユーザーインターフェースに工夫を凝らしています。そのため、データアナリストやデータサイエンティストを採用できなくても、現場で課題の発見や将来の予測などに取り組めます。

また、属人化しやすい資料作成において、BIツールなら統一したフォーマットを共有できます。WordやExcelは自由度が高いですが、人によって熟練度に差が生じがちです。そのため、ITスキルの高い社員に作成が集中する傾向がありますが、BIツールならば複数のデータをより視覚的に表示させることができます。

BIツールの主な機能

ツールごとに実装されている機能や強みは異なりますので、ここでは一般的な機能について説明します。

データ連携・ETL

DWH(データウェアハウス)連携機能

さまざまなシステムからデータを集めて整理する機能です。BIツールは、DWHと連携して分析対象となるデータを取得します。

ETL機能

組織内に複数あるシステムからデータを取り出し(Extract)、変換(Transform)と書き出し(Load)を行います。DWHへのデータ統合を可能とします。

データの集計・分析・予測

OLAP分析機能(オンライン分析処理機能)

膨大なデータを多次元的に集計・分析することが可能です。複数のデータソースからデータを分析・結合する際にも、素早い回答を返します。

データマイニング機能

統計学やAIなどを用いる発見型の分析手法です。大量のデータのから相関関係を見つけ出したり、仮説の根拠づけを行ったりすることができます。

シミュレーション機能

過去のデータから、条件を変更した際にどのような事象がどう変化するか模擬(シミュレート)します。課題発見や売上げ予測などに役立ちます。

可視化・アウトプット

ダッシュボード機能

ダッシュボードは、1つの画面に重要な指標をわかりやすく表示する機能です。ユーザーごとにパーソナライズ可能で、最新のデータが書き込まれると、ダッシュボードの画面も更新されます。

レポーティング機能

レポーティング機能は、レポートを作成して出力する機能です。日報・月報等の定型レポートは、設定をもとに自動作成できます。非定型レポートとして、突発的に発生するデータに対応したり、自由にレイアウトを変更したりできる機能があり、比較的簡単に作成できます。

BIツールの活用シーン

BIツールは、営業、マーケティング、財務、人事などの部門においてデータの収集、分析、可視化を可能にし、戦略的な意思決定を裏付けます。具体的には、売り上げ分析、在庫管理、キャンペーンの効果測定、顧客満足度の向上、経費管理、人事データ分析、勤怠情報管理など、多岐にわたって活用されます。

産業ごとの活用例

また、BIツールは小売業界での在庫最適化、製造業界での生産性向上、医療分野での患者データ分析など、さまざまな産業にも応用されています。政府や公共セクターでも、政策決定や市民サービスの改善にBIツールが活用されており、データをもとにした効果的な政策立案が可能となっています。総じて、BIツールはデータを資産として最大限に活用し、施策やプロセスを効果的に改善するための強力なツールとなっています。

経営・財務部門での活用例

経営・財務部門では、BIツールを使用して企業の財務データを収集、分析し、可視化します。これにより、経営者や財務担当者はリアルタイムの財務指標にアクセスし、経営の健全性や現状をモニタリングできます。

BIツールは予算の策定、収益とコストの最適化、リスク管理に役立ち、迅速な意思決定を可能にします。また、財務データの詳細な分析により、効率向上やコスト削減の機会を特定し、経営戦略の調整が行われます。さらに、予測分析を通じて将来の財務パフォーマンスを予測し、リスクを最小限に抑える計画を策定します。経営・財務部門におけるBIツールの活用は、組織の財務健全性を維持し、成長の機会を最大限に活用するために不可欠です。

BIツール選定のポイント

前提となるデータがあるか確認

BIツールの活用は、分析するデータがあることが前提です。既に取得したデータの分析が目的であれば問題ありませんが、データが未取得であったり、精度が低かったりする場合は、改善が必要です。また、データ収集の仕組みをこれから構築する場合には、コストがかかる可能性が高くなります。設備投資や作業負荷も含めた費用対効果を見極めることも重要です。

ビジネスのニーズに合った製品や実装機能を適切に選ぶ

組織の業界や規模、特定の課題に焦点を当てたツールを選びましょう。BIツールは、データのソースとの互換性が重要です。また、BIツールは異なるデータソースとの連携がスムーズであるべきです。特に基幹系システムとの連携ができない場合、手動で膨大なデータを取り込む必要があり、かえって手間がかかるかもしれません。ユーザーフレンドリーなインターフェースや可視化機能も評価ポイントで、データの理解と活用を容易にします。

導入形態とセキュリティ機能

オンプレミス型かクラウド型か、ユーザーライセンス型かサーバライセンス型かといった選択があります。価格・費用は製品比較の大きなポイントになるでしょう。また、セキュリティ機能も重要で、データの機密性を守り、コンプライアンスを確保するために適切なセキュリティ対策を備えたツールを選びましょう。

拡張性とトータルコスト

将来の成長に対応できる拡張性があるかも考慮すべきです。長期的な利用を考えるならば、ランニングコストも意識します。


BIツールの選定は組織にとって重要な戦略的決定であり、これらのポイントを考慮することで成功への道を切り開けます。

BIツールでデータの力を最大限に引き出す

BIツールは、データドリブンな組織を築くために不可欠なツールであるといえます。この記事では、BIツールの選定、データの収集と分析、戦略的な意思決定への活用に関する基本から活用シーンまで解説しました。

データは現代のビジネス環境で競争力を維持し、成功を収めるための鍵です。BIツールを活用することで、データをビジョンへ変え、組織をデータドリブンなものに変革できます。データに根ざして意思決定し、迅速かつ的確な行動を起こす能力は、競争力を高め、市場でのリーダーシップを築くための要件です。

自社組織を進化させる起爆剤として、BIツールを積極的に活用してみてはいかがでしょうか。