- 2023. 11. 21
- 業務改善・業務効率   
- 経営管理
一元管理とは?メリット・デメリットを知り経営の効率化に活かそう!
社会の情報化が加速し情報活用が叫ばれる今、経営戦略の策定に要する情報も増加・複雑化の一途をたどっています。現代のビジネスシーンを生き抜くために、情報の一元管理を検討している企業も多いでしょう。しかし、一元管理の効果やステップについて、疑問を持っているかもしれません。
そこで今回は、一元管理とはなにかといった基礎知識から、メリット・デメリット、効率的に実現するポイントまで解説します。正しく理解したうえで、経営の効率化に生かせるかどうか検討しましょう。
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一元管理とは
一元管理とは、これまでバラバラの部門・部署や担当者によって管理されていた経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のデータを、一か所に集約して統一的に管理することを指す概念、もしくは手法です。一元管理を行うことで、社内リソースやワークフロー全体を俯瞰的に把握でき、経営資源を横断的に活用することが可能になります。
一括管理・集中管理との違い
一括管理や集中管理は、それぞれの部門・部署や担当者が管理していた情報を一か所に集約して管理することを指す言葉です。集約するところまでしか意味せず、情報の管理方法については、考え方として含まれていません。
一元管理はデータを集約するだけでなく、管理方法を統一するところまで意味するため、より幅広い概念であるといえるでしょう。
一元管理の対象となる経営資源
一元管理の対象となるのは、「ヒト(人材)」「モノ(商品、サービス、設備等)」「カネ(お金)」「情報(データ、ノウハウ等)」にまつわる、ありとあらゆるデータです。人事・在庫・財務・会計・給与といった基幹系データだけでなく、顧客の購買データや製造現場の生産データなど現場の情報やデータも対象となります。
なぜ一元管理が重要視されるのか
2020年のコロナ禍をきっかけとして、世界全体がニューノーマル(新しい常態)と呼ばれる時代に突入しました。テレワークをはじめ新しい働き方が浸透したことで、従来はオフィス内の対面コミュニケーションで成立していた処理や管理方法が通用しない場面が出てきたのです。
企業が取り扱うべき情報は日々増え続けているなかでニューノーマル時代を生き抜くためには、情報管理の最適化とスムーズな情報共有への取り組みが求められるようになりました。
一元管理がもたらすメリット
一元管理の実施によって企業にもたらされるメリットには、以下のようなものが挙げられます。
業務の効率化やコスト削減
データの保管場所や管理方法が一元化されることで、部門・部署を問わず業務が標準化されます。業務の無駄を省くことによって、作業コストが軽減するのです。さらに、データの重複や不整合も解消されるため、データ整備にかかる時間や労力も節約できます。
結果として生まれた余剰時間や労力・資金などは、新たなアイデアの発想と実現、既存の課題を解決するための取り組みといった、ほかの企業活動に回すことが可能です。
社内コミュニケーションの促進
一元管理は、例えば「経営層と現場」「営業と開発」などのように、異なる立場・部署間に存在する壁を取り払うのにも役立ちます。情報はツールで一元管理されており、同じツール上でコミュニケーションも取れ、必要なやり取りが完結します。部署を超えたプロジェクトや大胆な人事異動の実現等につながるでしょう。
スムーズな情報共有
ツールを活用することで異なる拠点に散在しているデータをまとめて管理・参照できることから、情報確認・受け渡しといった手間を省けます。全社的にスムーズな情報共有が叶い、業務が効率化します。
情報正確性の向上
一元管理では、情報が体系的に整理された状態で共有できるため、情報連携時に発生しがちなヒューマンエラーの削減も見込めます。また、異なる部署間で生じていた情報の重複も解消されます。一元管理の実施が、情報の正確性向上にも寄与するといえるでしょう。
情報活用の推進
一元管理によってデータへのアクセスが容易になることから、より情報を活用しやすくなると予想されます。例えば生産・販売まで一元管理することで、今まで生産現場で埋もれていた情報をマーケティングや商品開発など多方面で活用することが可能です。
迅速な意思決定が実現
一元管理を行うと、正確性の高い情報が部門を越えて横断的に、かつリアルタイムに共有されるため、定量的な分析に基づいた経営戦略が立てやすくなります。結果、迅速で精度の高い経営判断につながるでしょう。経営判断を現場に伝達する際もデータを共有できていれば、現場の納得感を深めることが可能です。社内全体の意思共有が深まります。
一元管理のデメリット
経営に役立つメリットの多い一元管理ですが、導入に向けては考慮すべき点も存在します。デメリットもしっかりと把握しておきましょう。
導入や運用にコストがかかる
一元管理では膨大な社内情報を扱うため、ITツールの活用が欠かせません。多機能・高性能なシステムほど、導入や運用のコストが高くなる傾向にあります。
業務の効率化やコスト削減などが見込まれるため、自社に合ったものを採用していれば長期的にはプラスになる場合が多いでしょう。ただし、業務形態によってはひとつのシステムで生産から販売まで一気通貫に対応するのが困難なケースもあるため、本当に自社でメリットが生じるかどうかを導入前にしっかりと確認する必要があります。
社内での教育や意識改革が必要
せっかく一元管理を導入しても、社員がツール活用できなければ意味がありません。特に、長年既存システムを利用してきた従業員は、新しい方法に抵抗を感じることもあるでしょう。改変が受け入れられるよう、現場の意識を変えていく必要があります。
また、多機能・高性能なシステムは、複雑で使いこなせないおそれもあるため、マニュアル作成や教育時間の確保など、教育体制を整える手間も大きいかもしれません。
定着までに時間を要することも
新たなシステムや業務プロセスに慣れる必要がある分、定着し効果を発揮するまでには時間がかかると考えられます。その間に既存システムと新システムを平行して利用するケースでは、かえって業務効率が悪化してしまったり、正確なデータ収集・分析ができなかったりするおそれがあります。
法改正に留意する必要がある
企業経営はすべて法改正の影響を受けますが、そのなかで会計系の業務は法改正が頻繁であり、適宜対応が必要です。特に販売・購買・生産管理を強みとする企業の場合、会計システムの構築や稼働ノウハウが不足しているケースも少なくありません。一元管理を導入している企業が会計システムの法改正に手間取ることで、かえって全体の業務プロセスが非効率になるかもしれません。
上述したデメリットを懸念する場合には、一元管理ではなく自社開発または業種に特化したシステムを導入することや、会計は専門パッケージを活用するのもひとつの手です。
効率的に一元管理を実現するための3つのポイント
最後に、一元管理をスムーズに導入・運用するコツを紹介します。効率的な実現のために押さえておきたいポイントは以下の3つです。
一元管理を行う目的を社内で共有する
一元管理は、社内一丸となって取り組む意識や文化が整っていなければ、十分な効果を発揮するのが難しいものです。まずは、「なぜ社内全体で情報を共有・活用する必要があるのか」を一人ひとりが理解しておく必要があるでしょう。
目的を事前に理解できていれば、実務のなかで運用の改善点が出てきた際にも、より目的に近い理想的な方向へと修正が可能です。しっかりと費用対効果を検証して検討することにもつながります。
わかりやすいマニュアルやルールを整備する
一元管理の導入時には、社員ごとにツールの使い方やデータの管理方法が異ならないよう工夫する必要があります。誰もが同じように閲覧・操作できるよう、利用上のルールや操作マニュアルを整備しておくようにしましょう。
混乱を最小限に抑えるためには、社内への丁寧な説明・教育を実施しながらコミュニケーションを図り、理解や支持を深めたうえで導入するのがおすすめです。
自社に合ったシステムを導入する
一元管理ではシステム・ツールの活用が不可欠であるからこそ、自社に合ったものを選べるかどうかがポイントとなるでしょう。自社の活動や風土・文化にマッチしているか、必要な情報にアクセスしやすいかなどを確認しておくべきです。
一元管理でよく使われるのは、情報管理ツールやERPシステムです。
さまざまなファイルを保管可能な情報管理ツールは、どこからでも横断的に資料を共有したい場合に向いています。情報管理ツールのなかには、ワークフロー機能で稟議や経費申請等の最適化を促すタイプもあります。
企業活動に不可欠なあらゆる経営資源データをまとめて管理できるERPシステムは、社内においてリアルタイムでの情報共有・管理が可能です。社内全体で経営リソースの最適化を実現したいときに有効です。
ポイントを押さえた一元管理で経営の効率化を目指そう!
経営資源にまつわるデータを一か所に集約し統一的に管理する一元管理では、正確なデータを共有できるうえ、業務の効率化やコスト削減、迅速な経営判断の実現なども期待できます。
システムやツールの導入と運用には、コストや時間が必要ではあるものの、ポイントを押さえて上手に活用できれば経営効率化の大きな一手となり得ます。費用対効果を検証しながら、自社にとって最適な方法を検討してください。