- 2023. 09. 21
- 業務改善・業務効率   
- 経営管理
経営管理は効果的な組織運営に貢献!基礎知識からポイントまで解説
経営管理は、ヒト・モノ・カネといった経営資源の配分・調整・総括を行うことで、企業の安定やさらなる飛躍を望む際に欠かせない手法です。適切に経営を見直しながら管理していくためには、正しい知識とコツを押さえた運用が求められます。
そこで本記事では、経営管理の目的、経営企画との違いといった基礎知識や、種類、必要なスキル、実施時のポイントなどをわかりやすく解説します。今後の経営方針を検討する際の参考にしてください。
- 目次
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経営管理とは
経営管理とは、企業や組織が事業目標や予算などを効率的に達成するために、ヒト・モノ・カネといった経営資源を配分・調整したり、総括したりすることです。
具体的な業務には、経営戦略や事業計画に基づいた経営資源の適切な運用・進捗管理、内部統制の強化、組織再編、経営分析などが挙げられます。
経営管理の目的
経営管理の目的は、自社の限られたリソースで最大限のパフォーマンスを発揮して目標を達成することです。また、従業員の向かうべきベクトルを合わせてモチベーションを維持・向上させることです。
経営者の意思決定を従業員と共有し方向性を示さなければ、全社的な行動に一貫性を持たせにくく、目指すべきゴールもそろいません。経営管理では、経営のビジョンや戦略、方向性をしっかりと明示・共有することが重要です。
そのうえで、経営管理のPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)サイクルを回しながら、問題があれば早期に特定、軌道修正を図ります。
経営管理と経営企画の違い
経営企画とは、経営ビジョンや目標に基づいて、経営管理に不可欠な戦略などの策定を行うこと、またはそのような業務を担う部署を指します。つまり、経営のPDCAサイクルでいうところの「Plan」と「Action」を経営企画が、「Do」と「Check」を経営管理が担当します。
双方が機能して初めてPDCAサイクルを回せるため、円滑に連携できる体制づくりが求められます。
経営管理の5つの種類
経営管理は、企業活動や経営資源(ヒト・モノ・カネ)の領域に応じて5つの種類に細分化されます。それぞれの役割をしっかり捉えることが、効率的な経営管理実現の第一歩です。
人事管理(ヒトの管理)
人事管理とは、人材を確保し、退職までの一連のキャリアを通じて効果的な育成・配置・統制を行うことです。一般的には、人事部門が担当します。人事管理は従業員のモチベーションや組織全体のパフォーマンスにも影響するため、慎重に取り扱うべき分野です。
【具体的な業務例】
採用/人材の育成・教育・マネジメント/人事評価/人材配置/モチベーションやコンディションの管理、など
労務管理(ヒトの管理)
労務管理は、給与の支払いや福利厚生の整備、勤怠状況の管理など、従業員にかかわる職場環境を管理することです。
主な目的は従業員に働きやすい環境を提供することと、法令順守を徹底させることです。組織としてのハラスメント防止やメンタルケア、労働基準法や最低賃金法などの労働法の順守も業務に含まれます。
【具体的な業務例】
就業規則の作成・管理/労働契約・条件の管理/勤怠や給与の計算・管理/福利厚生の管理/安全衛生や健康の管理/業務改善の計画・取り組み、など
生産管理(モノの管理)
経営管理としての生産管理とは、企業活動を続けていくうえで欠かせない生産活動を効率化することを指します。生産活動とは、計画立案、製造、客先への出荷と生産全体にかかわる一連の流れのことです。
一連の業務を適切に管理することで、品質の安定やコスト削減、納期厳守、在庫の適正化などの実現が期待できます。
【具体的な業務例】
生産計画の作成/発注先の決定や価格交渉/在庫管理/納期管理/作業員の割り当て/工程管理/品質管理/市場調査/新製品の企画・設計/販売計画、など
販売管理(モノとカネの管理)
販売管理は、販売活動にかかわる商品(サービス)とお金の流れを管理することです。自社と仕入先間や、自社と顧客間でのやりとりが対象になります。
モノとカネの動きを管理することで、売上情報をより早く正確に把握でき、納品もれや重複発注などのミスを防止できます。確実な納品によって、顧客との信頼関係を築くことに貢献します。
【具体的な業務例】
見積・受注業務/出荷業務/売上業務/請求・入金業務/在庫管理/購買・発注業務/入荷・仕入業務/支払業務、など
財務管理(カネの管理)
財務管理は、資金を管理することで企業の経営をサポートすることです。企業が事業を行う際に必要な資金を管理することで、資金調達や資産運用、キャッシュフローなどカネにかかわる業務に幅広く対応します。支払い・投資・納税などを遅滞なく実行することで、円滑な企業運営を実現する業務です。
【具体的な業務例】
決算書の作成/財務分析/資金の管理・運用/予算管理/利益管理
経営管理で求められるスキル
適切に経営管理を行う際に必要とされるスキルは、主に以下の3つです。
経済・マーケティング関連の知識や経験
経営管理では、企業経営を実現できるレベルの基本的な経済・マーケティング・財務の知識や経験が不可欠です。自社の業種や産業における専門知識や経験も求められます。
また、自社の組織体系や運営体制をしっかり理解していなければなりません。知識と経験を自社の経営管理へと落とし込むために必要な知識だからです。
情報収集・分析能力
経営管理を行ううえでは、ビジネス上の意思決定や戦略策定に必要な情報を収集することが求められます。集めた情報を適切に分析し、施策の策定や現状改善へと活用する能力も必要です。
調整力・コミュニケーション能力
ビジネスでは、さまざまなステークホルダー(顧客、従業員、取引先、株主、金融機関など)が存在し、それぞれが異なる意見や要求を持っています。これらの人々の要望や利益を調整し、統一した方針を打ち出せなければ、経営管理は立ちゆきません。それを実現しえるだけの調整力とコミュニケーション能力も不可欠です。
適切に経営管理を実施する際のポイントは?
適切に経営管理を行うために押さえておきたいポイントをふたつ紹介します。
部署ごとに管理項目を可視化しKPIを定義する
規模が大きい企業ほど生産や販売など多くの部署を抱えている傾向にあるため、経営陣が一括で管理をしようとしてもうまくいかないことが多いでしょう。全体の総括・把握は経営陣が行うとしても、個別の対策は部署ごとに管理するのが理想的です。
企業全体の目標に即したKPIを部署ごとに定義して管理することで、企業としての方向性が統一されます。
経営管理に特化したシステムを活用する
効率的に経営管理を行うためには、経営管理に特化したシステムの活用が推奨されます。代表的なものとして挙げられるのは、EPM(Enterprise Performance Management)やBI(Business Intelligence)ツールです。
EPMは、経営情報を常時可視化することで、分析や課題への対処を迅速に行えるソフトウェアで、企業パフォーマンス管理とも呼ばれています。BIツールは、収集したデータを自社が求める形式に加工・分析して、経営上の意思決定を支援します。
システムやツールによって、できることや得意な作業は異なります。自社の目的に則した製品を活用することが、最大限のパフォーマンスを引き出す秘訣でしょう。
経営管理で企業の安定性と成長を目指そう
経営管理は、ヒト・モノ・カネや情報といった経営資源の配分・調整・総括を行います。企業の安定性確保を促すほか、企業戦略の見直し、さらなる成長への道筋をつけるのにも有用です。
ただし、経営管理には生産管理や販売管理などの複数の種類があり、ゼロから新たに導入するのは難しいかもしれません。そのような場合は、ツールを活用し、うまく経営管理を実現させていくとよいでしょう。